トロントに来て間もない頃のことを少し振り返ってみたい。
「ベトナム人が ”マジで旨い！”と言うお店を紹介してあげる」と
連れていかれたPhoレストラン。
それまでPhoを食べたことがなかった私には、
それが本場の味なのかも、
他店と比べてダントツ美味しいのかも正直分からなかった。
不味かったという印象もないが、
“Phoって何て美味しいの！？”という感動もなかった。
麺好きでなかったことも関係しているかもしれない。
ただそんなことよりも何よりも、
衝撃的なシーンを目撃して
食欲が萎えてしまったのが本当のところだ。
サーバー（ウェイター/ウェイトレスのこと）が
一人しかいない、こぢんまりとしたお店。
清潔感もごくごく平均的な感じだったと記憶している。
とは言いながら、
「お箸はナプキンで拭いてから使う」というのがお約束だと
カナディアンの友人が笑いながら教えてくた。
さすがに彼らも信用していないらしい。(笑)
オーダーされた料理がでてくるのを待つあいだ、
お客さんが帰ったあとのテーブルを片付け始めた店員さん。
食器を片付け、テーブルを拭く。
手際よく仕事をしていたその時、
Hot ソースのボトルを小突いて倒してしまう。
蓋が緩んでいたようで、ソースがドド～っと流れ出す。
みるみるうちにテーブルの上はソースの海に…
「やっちまった！」と慌てる素振りは全くない。
まるでルーティンであるかのように
テーブルの上のソースを手でかき集める。
そして次にまさかの展開が待っていた。
そのかき集めたソースが行きついた先は、
何と、半分空になったボトルの中…
何事もなかったかのように蓋を閉めると、
ボトルはテーブルの定位置に戻された。
ソースボトルに釘付けの私の目は火を噴いていたに違いない。
次のお客さんは、あのボトルの本当の中身を知らない…
もう２度とこの店に足を踏み入れることはないだろう。
でも、もし他のお店も同じだったら？？
考え出したら怖くて外食が出来ないと震えた
初期の頃の恐怖体験だ。
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