壁や天井を自分で塗り替えることも、
日本にはない文化?の一つだと思う。
こちらの人は気軽にペンキを買い込み自分でペイントする。
この家に来て早々、私も階段の色塗りを仰せつかった。
日頃はあまり気にしないが、
よく目を凝らして見回してみると、
壁のあちこちに塗った形跡が見て取れる。
うちの様に古いアパートともなれば、
それはそれは何重にも重ね塗りされてきた歴史がある。
ここに住み始めて1,2年経った頃だったと思うが、
バスルームのドアの内側がふやけて剥がれてきた。
“ペイントの歴史”に実際にお目にかかった瞬間だ。
一カ所だけじゃなく、あちこちが剥がれ始めたので、
「いっそのこと全部一気に剥がして、きれいに塗り替えよう!」
とドアを外し、古いペイントを剥がす作業に取り掛かった。
ところが予想外だったのは、このドアが金太郎飴状態だったこと。
剥がせば剥がすほど、違うカラーになっていく。
恐らく塗り方が均一じゃないのが一つの原因だと思うが、
ある部分は3枚の層が一度に取れるが、
ある部分は1枚の層しか簡単に取れないという厄介な状態で
どんどんまだら模様になっていく。
一体何色で出てきただろう?
ピンク、オレンジ、クリームイエロー、ベイビーブルー、パープル…
年輪のごとく永遠に続くペイントの層に疲れ果て、
ドアは作業台に放置される羽目に。
その間、我が家のトイレは扉なしだ。
結局、どんなんに頑張ってもスムーズな表面に戻すことは叶わず、
オフホワイトカラーの新たなペンキで隠すことになった。
全体を一色に塗ってしまえばどうってことはない…
ざらざらした凹凸も、
”こういう材質の木材”なんだという気さえしてくる。
このテキトーさ。
カナダで暮らしていくには重要な要素だ。
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