洗濯

文化の違い

窓の外に目をやると、
色とりどりのTシャツが気持ちよさそうに揺れている。
外に干された洗濯物を目にするのはトロントではまれだ。
リビングの窓越しに見えるのは、ご近所さんの大きな庭。
そこには2本のロープが張られ、
天気のいい日は、10数枚のカラフルなTシャツがきれいに並ぶ。

カナダに来て一番のカルチャーショックは、
洗濯機が自宅にないことだった。

洗濯機は、日本では生活を始める際に
一番初めに買い揃える家電の1つだろう。
私が生まれた頃には洗濯機は既に市民権を得ていて
どこの家庭にもあった。(と思う)
その必需品がないという一大事は、
驚きを通り越して本当にストレスだった。

今でこそ、新築のコンド(マンション)や家には
洗濯機が設置され始めているが、
古い家は、そもそも洗濯機を設置する構造になっていない。
洗濯機を入れるには配管や電圧などの工事をしなければならないのだ。
古いコンドは、基本的に建物内に共同のランドリーがあり、
一軒家同様、各部屋には洗濯機用の配管が通っていない。

私が初めてカナダに来たのは、遠い昔ワーキングホリデーだった。
1ヵ月お世話になったホストファミリー宅は
新興住宅地の家だったせいか幸運にも洗濯機があった。
その後、友人とシェアして暮らしたコンドでは
地下にある共同のコインランドリーを利用した。
混んでいて使いたい時間に使えないなど
多少の不便さはあったが、建物内で済むので、
そこまでストレスには感じなかった。
それよりもTVドラマ「フレンズ」で出てくるような
海外っぽさの実体験を少しばかり楽しんでいた。

ところが、再びカナダにやって来て生活を始めた時、
洗濯機がない家が多いことを知る。
そして旦那と一緒に暮らすようになったときも、
彼のアパートには当然のことながら洗濯機はなかった。

ドラム缶大のバックを洗濯物入れとして使用していた彼は、
それが一杯になるまでコインランドリーへ行こうとしない。
一番底にあるTシャツは一体いつの時代のものなのか?
バックがあふれるまで下着が無くならないのもすごいが、
汗をかいたり汚れたりした衣服を
そこまで放置できることがスゴすぎる。

湿気の低さがこの驚愕の事態を可能にしているのだと思う。
濡れたものもすぐにカピカピになる。
乾燥するとそれほど臭いを発しない。
大汗をかいてシャワー浴びたい!と強く思っていたはずなのに、
冷房の効いた場所に入って汗がスーッと引くと、
シャワーの欲求が薄れるのに似ているかもしれない。

一緒に住むからには、そんなサイクルは許されない。
洗濯は計画的に。最低でも週に1度は洗濯したい…

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