2日前、”気の早い木々は既に黄色い葉を散らし始めている”と書いた。
カレンダーを見て、もう10月の中旬を迎えていることに気づき、
「いや、遅くないか?」という思いがふと頭をよぎった。
今週末はサンクスギビングの週末だ。
カナダでは、毎年10月の第2月曜日に設定されている祝日だ。
大抵は旦那の実家へ行き義母の作ってくれる
伝統的なサンクスギビングディナーをいただく。
義母の住んでいる街までトロントから車で3時間ほどだが、
そこに行くまでの高速道路沿いの景色が
見事な紅葉だったのを鮮明に覚えている。
あれはもう10年以上も前になる。
トロントに来たてで、うぶだった私の目が
紅葉を誇張して脳裏に焼き付けたのかもしれないが、
それでもやはり、近年のサンクスギビングデーに
赤く染まった高速道路を通った記憶がない。
刻々と迫ってくる世界的な温暖化で
紅葉する時期が年々遅くなっているのだろう。
日本とカナダの街並みをくらべてみると
最も違うのが「木の多さ」だと思う。
あくまでも自分の育った環境との比較ではあるが、
実家の周りの住宅街は「家、家、家」。
しかしこちらは、「大木、大木、大木」。
そのせいか、住宅街をただ散歩するだけでも
迫力のある紅葉を楽しめる。
どの家の敷地にも見上げるような大木が植わっている。
幹が直径30cmを超える木を伐採するには、
市の許可を取る必要があるらしい。
見渡す限り、ほとんどがそれより太い。
緑豊かな夏の間はどれも同じような木に見え、
気かけることは少ないが、
秋になり葉の色に微妙なグラデーションがつきはじめると
驚くほど多種多様な木々があることに気づく。
自分の視界よりはるか上空に広がる
紅葉のキャンバスが息をのむ美しさなのは言うまでもない。
そして私は、足元に敷き詰められる
色とりどりの絨毯にも心を強く惹かれる。
カサカサと枯葉を踏みしめながら歩くのが
何ともいえず心地いい。
カナダの紅葉といえばメープル街道が有名だろう。
湖も多く大自然がすぐそこにあるカナダは、
ちょっと郊外に出れば、
それこそスケールの大きな紅葉を楽しめる。
しかし、トロント市内のあちこちで、
ただ民家の周りを歩くだけでも見ごたえのある紅葉を楽しめる。
気温が下がり外へ出るのが億劫になっていく季節ではあるが、
この紅葉が重い腰を上げる重要な役割を果たしてくれている。
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