頼りがい

日本

いつも、なにかと両親の面倒を見てくれている姉。
ここ2年は、
耳が遠くなった父の病院通いを
いつも付き添ってくれている。
姉の自宅と実家は2時間近く離れており
仕事を調整しながら、
毎回睡眠を削りながらの往復だ。

今回私が来るのに合わせて、
電気屋を呼ぶ段取りをつけてくれたのも姉だ。
年季が入ってきている我が実家は、
次から次へと修理が必要な個所が顔を出す。
玄関の外の電灯は
もうずいぶん前からつかなくなっていたらしい。
電灯の傘が古くてガッチリ固まっており
工事専門の男の人の腕力でも開けられないほどだった。
しかも中に水が溜まっている”疑いあり”と言われ、
漏電やショートの危険もあるため
応急処置として小さな穴をあけ水を抜いてもらった。

はじめは脚立にのって、
私と姉で電球を取り換える気でいたのだから、
素人考えの、なんと浅はかなことか…

そしてこの機会を使って、
電気系統の悩み、疑問をすべて解消。
例の焦げたコンセントも直してもらった。
姉の仕切りですべてを終え
ホッとしたのもつかの間、
これから電気屋へ行こう!と次なるイベントが。

私は、事前に姉からのリクエストで電気屋に走り
パンフレットをかき集めてきた。
貼られていたポップなども写真に収め
情報取集はしてきたのだが、
それをしても十分ではないらしく、
自分で確認をしに(質問ぜめ)行くという。
このバイタリティ、どこからでてくるのか?

若いころ、姉は気性が激しく、
姉妹といえども付き合うのが大変だった。
さすが長女!と感じる頼りがいが昔からあったが、
機嫌を損ねると大嵐が吹き荒れ家族は困惑した。
そんな姉も歳を重ねて角が取れ、
家族のだれもが頼りにする唯一無二と存在になっている。

海を渡った私は、里帰りもままならない。
帰ってきたところで、1週間かそこらの滞在では、
両親が普段遭遇している本当の不便さや、
社会の変化(セキュリティー対策など)といった
現状が見えてこない。
私は姉や両親のリクエストを淡々とこなすだけになる。
すべてまかせっきりなことに罪悪感を感じながら、
せめて私できることはと考える。
唯一残るのは”出資”しかない。

高齢の両親が安全に、事故のないように、
暮らしやすい環境を整えるためには、
それなりに費用がかさんでいく。
電気屋でいろいろと質問攻めをしている姉を横目に、
私の頭は費用の足し算をする。

稼ぎの低い自分を呪う。
本業の給料も下がったまま。
副業も軌道に乗っていないこの中途半端さ…
玉の輿にのることもかなわず…
帰ったら馬車馬のように働かなければと
決意を新たにして今日も眠りにつく。

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