願いもむなしく、愛しのジムがクローズという道を選択した。
その結果、この7年間
私の運動不足解消のよりどころだった場所がなくなった。
2020年、世界はコロナという未曽有のウイルスに翻弄された。
私は在宅勤務になったことでエネルギー消費量が激減。
下手すれば一日中家の中で机に向かい、
歩くことさえほとんどしないまま1日が終わっていく。
基礎代謝量が減っていく一方の中年女にとっては一大事だ。
そんな危機を救ってくれたのがこのジムなのは間違いない。
しかし、終わりの日は突然やってきた。
日曜日の朝、オーナーの1人 (2人の共同経営)から
旦那にテキストが送られてきた。
彼女はプライベートで旦那に$50の借りがあり、
それを返したいというものだった。
オーナーであり
リードインストラクターでもあった彼女だが、
自身のケガもあって、
ここ2年ほどはジムに顔を出さなくなっていた。
その彼女がジムに来たというのも
何等かの理由があったのだろう。
結局、彼女は$50のことはすっかり忘れて
帰途についてしまったのだが、その後電話があった。
旦那はそこで一通りのいきさつを聞いたらしい。
「今日をもってクローズする」と。
会員全体へのクローズの連絡は、翌朝にテキストで入った。
テキストメッセージの簡単な挨拶でサヨウナラとは、
あまりにも軽すぎやしないだろうか?
これも時代の流れなのか、カナダ式なのかは分からない…
クラスを予約するアプリを開けると、
昨日まで表示されていたスケジュールがすべて消え
真っ白な画面だけが映し出される…
何とも言えない寂しさがこみ上げてきた。
もう1人のオーナーから、
テナントのリース契約を更新する意思がないことは聞いていた。
フィットネス業界は
コロナの影響を最も受けたサービス業の1つだろう。
ここトロントでも、営業再開まで一番時間がかかっている。
トータルでほぼ2年間クローズを余儀なくされた。
オープンして2年、やっと黒字に転換し始めた時にコロナが襲い
利益を生みだすどころか、どん底に突き落とされた。
そんな中、途中で投げ出すことなく、
ジムのドアを開け続け7年間のリース契約を全うしたのは
何をおいても、オーナーの真摯な人柄
そして責任感によるところが大きいと思う。
彼はジムのオーナーとしては手を引くが、
他の方法でジムの存続を探ってくれているようだった。
ところが、ビルのオーナーは
何が何でもコロナ禍における損害を取り戻したい。
コロナ禍の損害はお互い様のはずなのだが、
それに難癖をつけ、あり得ないほど賃貸料を跳ね上げてきたという。
ビルのオーナーとの交渉は破綻し
突然のクローズで幕を閉じてしまったという訳だ。
月曜日に届いたクローズのメッセージに
不可解な内容が含まれていたのもこれで納得がいった。
「本日のクラスは行われない」
「突然の決定でとても残念だが、指示に従った処置である」
的な内容が書かれていた。
ジム側としては、まだ営業日が残っていたにもかかわらず、
交渉の決裂と共にバッサリと切られてしまったことが透けて見える。
実情を知る(オーナーと個人的な付き合いがある)私たちでも
少なくともあと1ヵ月はクラスがあると思っていたので
突然のクローズは驚きだった。
お世話になったインストラクターたちに
まともな挨拶もできず尻切れトンボ状態なのもスッキリしない。
この日のクローズが分かっていたなら、
最後のクラスで、きちんとお別れをすることもできただろに…
コロナ以降、
オフィスビルの空きスペースが増加しているという。
コロナという最悪の時期を乗り越え
”唯一の” 家賃という収入を生みだしてくれていたジムを追い出し、
このビルのオーナーは何を追い求めているのだろうか。
コロナさえなければ、別のシナリオがあったのではないかと
思わずにはいられない。
果たしてビルのオーナーのGreedyさが吉とでるか凶と出るか…
コロナの爪痕は、2024年になった今も
まだはっきりと残っている。
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