病院

海外生活

カナダで一番不便を感じるのは病院だ。
一般的な診療であれば建康保険がカバーしてくれ
医療費が無料というのはすばらしい!!
しかし、なんせ時間がかかる。
診察を受けたい診療科目が分かっている場合は
特にイライラする。
「目が腫れた」から眼科へ行こう。
「腰が痛い」から整形外科へ行こう。
「皮膚がかゆい」皮膚科へ行こう。
ということができない。

まずは、ファミリードクター*と呼ばれる医師の診察を受け
(*ファミリードクターになってもらうには契約を交わす必要がある)
専門医の受診が必要と判断されれば専門医を紹介してくれる。
ファミリードクターを持っていない人は、
ウォークインクリニック*と呼ばれるクリニックへ行くことになる。
(*受付順に誰でも見てもらえるクリニック)
しかしびっくりするのは、
この第一ステップであるクリニックには
レントゲンや血液検査等をする設備が整っていないことだ。

つまり、例えば診察の結果「血液検査が必要」となると、
別の検査施設に行かなければならない。
自分で予約を入れる必要があるのはもちろんのこと
すぐに予約が取れるとは限らず、まずこの時点で数日を要する。

やっと予約を入れ検査をしてもらっても、
その結果が元のドクターへ送られ、
担当のドクターが目を通すまでにこれまた数日かかる。
その後やっとドクターからから呼び出しがかかり
検査結果の報告を受けるためにクリニックに出向くことになる。
「おかしい」と思って診察を受けてから最初の診断結果を得るまでに
普通に1週間とかいう時間が流れる。
そこで専門医が必要となれば、さらに長い旅が待っている。
このご時世に信じられない遅さだ。
運よく予約がすぐに取れてこの長さだ。

私はこのおかげで大変な目に遭った。
バレーで突き指をして小指の第一関節が曲がったままになったことがある。
これは、マレット指と言われるよくある外傷だそうだ。
当時、ファミリードクターを持っていなかった私は、
翌日ウォークインクリニックを訪ねた。
曲がった小指を目にしたその日担当の若い女医の第一声は、
「あら~おかしいわね…」だった。
そして「骨には異常なさそうだけど、
まずはレントゲンをとってきて下さい」と告げられた。
週末だったので検査施設はお休みで
レントゲンを取るだけでさらに1日をロスする。

月曜日にレントゲンを取り、ドクターからの連絡を待つが一向に来ない。
翌日だっただろうか?しびれを切らしてクリニックをたずねると、
受付のデスクにカルテが積みあがっており、
「あなたのは今ここにあるから、先生が目を通すのはまだ先ね。
順番だから」と、カルテの位置を指しながら説明された。

・・・

それからしばらくして(さらに翌日だった記憶)電話がきたのだが、
「骨折してなかったようなので大丈夫ですよ。
また何か支障があったら来てください」と。

愕然とした。支障があったから行ったんですけど…
何が大丈夫なんでしょうか??? その根拠は一体何?

このマレット指は、けがをしてからすぐに関節を固定すれば
普通に元に戻るケガらしい。
しかし、私はこの処置が遅れたせいで
今も小指の第一関節は曲がったままだ。

「あら~おかしいわね…」と言われた瞬間、
その女医が役立たずだと悟った私は、
帰宅後すぐにググって「マレット指」に行きついた。
自分なりに関節を固定してはみたのだが、しょせん自己流。
後日、総合病院まで出向き正しい処置をしてもらったものの、
時すでに遅し。
その時見てくれた先生は、瞬殺で緊急処置が必要なケガだと診断。
何でこんなに放っておいたの?という反応をされ、
ここに来るまでのいきさつを簡単に説明したところ、
「一体どこのウォークインだ?」となかば呆れていた。

日本なら、整形外科に直接行くことができ、
すぐに関節を固定する器具をつけてもらえたはずだ。
念のためにレントゲンは取るかもしれないが、
その場で撮影し、骨に異常があるどうかもすぐに判明する。

ドクターよりも「自分+グーグル」の方が
マシな診断を下せるという驚きの医療に遭遇した。
それ以来、もしケガをしたら
遠くても総合病院へ行くと決めている。
というか、当時は総合病院へは直接行けないと思っていた。
旦那も教えてくれなかったのだから彼もある意味共犯か…?

もちろん、総合病院も基本的には緊急の患者優先なので、
何でもかんでも直接行ってしまっていいという訳ではないと思う。
ただ、ケガの場合は絶対に総合病院へ行くことをお勧めする。
骨折などもっと大きなケガの場合は救急病院だ。

私の曲がったままの小指は、
どうしても治したければ形成手術することになるらしい。
生活に支障はないのでそのまま放置してはいるが、
この曲がった小指が目に入るたびに
カナダの医療システムを呪いたくなる…

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