よくもまあ、ここまで雰囲気をぶち壊せるもんだ。
毎週プレーしているバレーボールのクルーには、プレンセスが1人いる。
昔は2人いたが、1人減った。
見た目のことではない。(12人のプレーヤーの内、女子は私だけ。)
ゲーム中の態度を指してこのニックネームがついている。
このプリンセスが生み出す空気の影響力はすさまじく、
どよ~んとした灰色の世界が
瞬く間に体育館を丸ごと飲み込んでしまう。
以前いたプリンセス1も、その圧力はズバ抜けていた。
バレー経験者で、元セッター、体格も良くスパイクの破壊力もある。
彼は自分の好きなところにボールが上がってこないと
どんどんふてくされていく人だった。
(プロじゃないんだから… 要求が高すぎ!)
このグループはリーグでも何でもなく、
バレー好きが集ってバレーを2時間とことん楽しむという
レクリエーション感覚の集いだ。
ポジションは固定制ではなく、
ローテーションで順番にセッターのポジションが回ってくる。
自分にセッターが回ってきた時に、
彼が隣にいるとプレッシャーが半端ない。
下手なトスを上げると、ご機嫌を損ねてしまうため、
私は出来るだけ彼の隣にならないように
プレー開始前は、特に彼とは距離を置くようにしていた。
今も残るプリンセス2も、経験者で背が高くリーチも長い。
彼が得点源なのは間違いなく、
長いリーチはどんなボールにも手が届き
ディフェンスでも何度となく失点を防いでくれる。
発言力も強く、セルフジャッジのin/outやネットコールなども
誰よりも主張が激しく威厳がある。
気分がいいと、ミスしてもチームメートに声をかけたり
ジョーク (面白くないが)を飛ばしたりして陽気なのだが、
負けが込んでくると一気に沈黙する。
一切声を出さなくなり、顔からすべての表情が消えてなくなる。
まるで能面だ。
もうこうなったら誰にも止められない。
長いリーチでボールに手をだしてはホームランを連発し、
自分が守らなければならないボールも追わなくなる。
普段他の人がこういったミスをすると怒りをあらわにするくせに
自分が同じようなミスを続けても知らん顔。(能面のまま)
サーブをネットにかけ、
まるでトスが悪いと言わんばかりにスパイクも投げやりになる。
当然ながらチームのリズムはどんどん狂いだし、
覇気がなくなり、ちぐはぐなプレーが連続することになる。
誰も口には出さないが、
プリンセスの機嫌を伺いながらプレーするという
重い空気が体育館全体を埋め尽くす。
せっかくの楽しみの時間を見事につぶしてくれた。
昨日は、プレー後のパブにも顔を出さなかった。
”プレー中のいざこざは全てコートに置いていき、
その後はみんなで楽しくビールを飲もう”と
周りの人に常々説いてまわっている本人が、
ふてくされて帰ってしまった。
自宅に帰ったプリンセスは、独り反省会でもしているのだろうか?
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