海外に長くいると恋しくなる母国『日本』。
今住んでいるカナダ・トロントも
個人的には嫌いじゃない。
住めば都という言葉どおり
いろんな不満は多々あれど、
慣れてしまえばさほど不便さは感じない。
何が恋しいかって?
やはり、日本食だろうか。
トロントでは
アジア系のスーパーマーケットに行けば
大抵の日本の食材は手に入れることができる。
少しお高くつくものの、
私の舌が欲するお味をつくる基礎調味料
味噌、醤油、みりんも、
私の命をつなぐ(大げさ!)主食のお米も
問題なく手に入る。
自分できちんと作れば
それなりに日本食は食べられるのだが、
うちの場合は旦那がシェフのため、
完全な日本食を食べられるのは、
旦那が留守になる一人飯の時に限られる。
それが、帰省中は毎日食べられるのだから
これ以上の幸せはない。
しかも、おふくろの味。
骨の髄まで染み渡る。
カナダでは少しも食欲をそそられることのない
コンビニでさえ、
食べたいものが山ほどある。
当然ながら、おふくろの味をメインに味わうので、
限られた時間の中では
コンビニまで手が回らない。
泣く泣く、目だけで楽しんでお別れをする。
そしてもう1つ恋しいのがお風呂。
私は決してお風呂好きなほうではなかった。
のぼせやすいのか、長い入浴はできず
いつも烏の行水だ。
それでも、寒い季節になれば
短時間とはいえ湯舟に浸かりたくなるものだ。
今回もそれを楽しみにして帰ってきた。
難点は、日本の家屋の寒さ。
暖まったリビングから一歩出れば、
そこは屋外…
脱衣所のストーブをつけるものの、
暖まりきらないうちに服を脱ぎ捨て
待ちきれずに風呂場に立ち入る。
勢いよく踏み入れた足が、
思いのほか冷たいタイルに縮みあがる。
浴室を温めるヒーターはついているが、
電気代が跳ね上がっていると聞くと
居候の身の私は躊躇してしまう。
温泉とは違い、箱庭サイズの小さなお風呂。
浴槽の蓋をあけて、
まずは熱いシャワーを浴びれば
その蒸気ですぐに暖まるさと。
こういうやせ我慢が事故につながるのよねと
思いながらも、
やってしまう人間の愚かさよ…
(高齢の親には常々、
やらないように言い聞かせている)
待ち焦がれた、程よい熱さの湯に
体を沈めたときの幸福感は、
言葉では言い表せない。
まさに「あぁ~」という瞬間だ。
英語で『aha moment』
(ひらめいた時になるほど!と思う瞬間)
という言葉があるが、
これはいわゆる
『あぁ~ モーメント』と言えるかもしれない。
(「あぁ~」という声をだす85%が50歳以上で、
しかも男性に多いという調査結果もあるのだとか…
私はおっさんということか)
体の芯からポカポカに暖まった状態で
布団に入り眠りに落ちる。
湯舟に浸かってリラックスした全神経が
良質の睡眠をも生み出してくれている気がする。
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