驚異の空耳 | ブルージェイのひとりごと

驚異の空耳

日々の暮らし

2階に住むテナントの一人は70近いおばちゃんだ。
うちの店舗の上に独りで住んでおり、
居住歴は私たちよりもはるかに長い。
以前はもの静かで何の問題もない人だったが、
ここ数年で様子がどんどんおかしくなった。

突然床をドンドンと踏み鳴らし、狂ったように叫び出す。
「ボリュームを下げろ!」
「うるさ過ぎてまともに食事すら取れない!」
その声は、まるで悪魔が乗り移ったかのようで
太く低くそしてしゃがれている。

お店ではバックミュージックを流している。
というか、うちの旦那はラジオ派なので、
ラジオが流れていると言った方が正しいだろう。
ボリュームはいたって普通の生活音レベルだ。

言いがかりなのは明らかなのだが、
それでも、スピーカーの位置を変えたり、
天井裏に簡易の防音材を放り込んだり、
うちの旦那なりに譲歩してきた。

しかし、おばちゃんの症状は悪化の一途をたどる。
時には夜中の2時頃に「今すぐ仕事を止めろ!」
「やかましくて眠れない!」と電話でわめき散らし、
2階の廊下の壁を叩き続ける。
もちろん私たちはとっくの昔に夢の中だ。
店の営業時間は6時まで。それ以降、店には人っ子ひとりいない。
おばちゃんの耳に何が聞こえているのか知らないが、
睡眠を妨害されているのは私たちの方だ。

毎度、標的は私たちで、Fワードを連発しながら罵倒してくる。
もはや何を叫んでいるのかも分からないうめき声の時もある。
かと思えば、ひとしきり吠えたあとに、
誰かを諭すようにイマジナリーフレンドと会話していることもある。

こんなおかしな症状が出始めたのはコロナの頃だっただろうか?
どんどんエスカレートしていくおばちゃんを見るに見兼ねて
ソーシャルワーカーを呼ぶなどしてみたが、
今だ解決には至っていない…
最近やっと最悪の時期を脱した感があるものの
彼女のスクリームもイマジナリーフレンドとの会話も
不定期ながら続いている。
おばちゃんの心休まる日が一日も早く訪れることを願うばかりだ。

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