インストラクターの資質

文化の違い

カナダの人達が時間におおらかなのは
何度も経験してきて驚かなくなった。
ジムのインストラクーが時間になって現れなくても慌てる必要はない。

ある日、キックボクシングジムのインストラクターが現れなかった。
その日の受付を担当していたのはジムのオーナーの娘さん。
これもカナダあるあるかもしれない。
ジムに限らず、カフェ、コンビニなど、
家族・親戚が従業員のシフトの穴を埋めていることは意外と多い。

その日、クラスの時間になってもインストラクターが現れず、
娘さんは慌ててオーナーである父に連絡を取っていた。
参加者はそれほど気にする様子もなかったが、
60分のエクササイズ時間は、59、58、57・・・
刻一刻と減っていく。

その時、うちの旦那が驚く行動に出た。
「時間がもったいないから準備運動をはじめようか」
何と…クラスをリードし始めたのだ。

確かに、このジムの一番の古株が私たちであるのは
紛れもない事実(会員番号1&2)だ。
何ならオープン前の無料体験会から参加している。
とは言え、旦那はインストラクター未経験。
ましてやマーシャルアーツの経験者でも何でもない。
そんなことはお構いなしに堂々と指示を出し始める。
こういうリーダーシップというか自信にはいつも驚かされる。
(実は日本でインストラクターをしていた私だが、
ここでリードを取ろうとはこれっぽっちも思わなかった)

彼は、いつもインストラクターから指示されていた内容を
忠実に再現しながらウォーミングアップを進めていく。
一通り終えても、まだ本物は登場しない。
とうとう、みんなにボクシングのグローブをつけさせ、
ジャブ、ジャブ、フック…とメインパートにまで入り始める。
中央のインストラクター用のサンドバッグの前で、
デモンストレーションしながら指示を出していく旦那。
そしてそれに従う従順な会員たち…

しばらくして娘から電話を受けたオーナーが飛んで駆けつけ、
旦那からバトンを受け取ると、
その後は “通常?” のクラスが展開され無事にクラスは終了した。

とっさにリードを取り始めた旦那の行動にも驚いたが、
それにフツーについていく人たちの何と心の大きなことか。
その光景は微笑ましくもあり滑稽でもあった。
後日、旦那はクラスの危機を救ったヒーローとして、
みんなの前でコーヒーショップのギフトカードを贈呈された。

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