トロントには石造りの建物が多く存在する。
よく見かけるのは赤レンガの家だ。
そしてコンクリートブロックの建物も多い。
うちの住居も何を隠そうコンクリートブロックだ。
初めは「えっ?あのブロック塀?」と半信半疑だったが、
ベースメントの壁はブロックがむき出しなので、
(ペイントされているだけ)否が応でも実感させられる。
入居して間もない頃、雷をともなう激しい雨に見舞われた。
そして落雷の影響で停電になり、予期せぬハプニングに遭遇する。
ベースメントが浸水したのだ。
近くの河川が氾濫したわけじゃない。
何日間にも渡り豪雨が続いていたわけでもない。
予想を絶する土砂降りだったわけでもない。
たしかに短時間にバケツをひっくり返したような激しい雨が降ったが、
「浸水」が起こるとは夢にも思わなかった。
よく考えれば、ベースメントとはそういうものなのだろう。
地上より下に位置しているのだから…
通常、地下には排水ポンプが取り付けられている。
それが停電のために停止してしまったのが原因だった。
真っ暗闇の中、水をモップで吸い取る作業を延々とこなす羽目になった。
そしてそれがトリガーになったのか、
その後少しでも強めの雨が降ると、
ブロックの壁が雨水を吸収しきれずに水を吐き出す?ようになった。
そう、まるで小便小僧のように。
水が、壁から弧を描くように室内に飛び出してくる。
一つを塞ぐと別の場所に新たな小僧が出現する。
次々と姿を現す小僧相手に奮闘する我々の姿は
日本の伝統芸能「水芸」にも劣らなかっただろう。
しかし当時の私に、これを笑い飛ばす余裕などあるわけがない。
雨水が室内にダダ漏れという異常事態。
旦那は「タダの水」だと言うが、
どこをどう伝って流れて来る水なのかを想像すると不快感が半端ない。
そしてそこでの生活を強いられるストレス。
問題解決を延々と先延ばしするビルのオーナーの無責任さに呆れ、
オーナーとの交渉を少しも進めようとしない旦那にキレ、
雨が降るたびに小僧の出現に怯える。
海外での暮らしはウソみたいな毎日の連続で
ほんっっっとうにイライラが絶えない…
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