カード決済の弊害

海外生活

最も汚いものは“お金だ”と言われるくらい、
確かにあらゆる場所を回り回っているお金ほど
“清潔”から程遠いものはないのかもしれない。
もともとカナダはカード社会ではあったが、
コロナを経験して更に加速した気がする。
清潔面からすれば歓迎すべきことなのだろう。

最近はどこへ行っても、支払い時にカードマシンを向けられる。
「現金でいいですか?」と聞くのがだんだん恥ずかしくなってきた。
きれい好きだと公言する私としては矛盾しているが、
私はまだ何を隠そう現金主義だ。なぜだろう?
理由はいくつかある。

先日の買い物でカード払いの嫌なところをひとつ再確認した。
以前にも書いたが、カナダにはチップ文化がまだ残っている。
提供されたサービスに対して心づけを渡す習慣だが、
どうも腑に落ちない。

チップが発生する場所として一番に思い浮かべるのはレストランだろう。
「サーバーたちの時給は低いので、チップがないと生活できない」
と昔は言われていたが、他の職との賃金差がなくなった今、
何で??って思ってしまう。
チップをもらえるサーバーの方が
今じゃ事務系のパートよりも断然高給取りだ。

しかもカードマシンにデフォルトで設定されている
チップのパーセンテージが上がっていることも納得いかない。
ごくごく普通のレストランで20%とか25%とか…
えっ??って感じ。

まあ、今回はパーセンテージの件は置いておいて、
チップ自体に話を戻そう。
カウンター越しの飲食店は、基本的にはチップは発生しない。
昔はレジに小さな瓶とかが置いてあって、
「もしよろしければ、チップを置いていってください」
と控えめだった。
カナダ人はチップ文化に慣れているし、
小銭を持ち歩くのを嫌う人が多いので、(特に男性)
お釣りをそのまま瓶に入れていく人が多かった。
その結果、塵も積もれば…何とやらで、
本来ならチップの無い仕事にもかかわらず、
ちょっとばかりチップがもらえていた。
(と言っても私のカフェでの経験では、月10ドル程度)

ところが、皆がカード払いになると、
その小瓶の役目は無くなってしまう。
先日、私がマジか?と思ったのがそこだ。
レジで支払う際、私が何も言う前にカードマシンを突き出された。
それもレジ係が手に持ったまま。
そんな至近距離での操作は正直やりづらい。
動向を監視されているような視線を感じる。
カードを差し込むと、すかさずチップを入力する画面が出てくる。
最低でも12%から…

「もしよろしければ…」というあの控え目さが無くなり、
「チップをよこせ」という傲慢さを感じてしまった。
なんでカウンター越しのごくごく当たり前の対応に
チップを払わなければならないのか?
スーパーや薬局のレジではチップは払わないぞ。

チップを払わないと従業員の士気に影響し、
サービスが低下するなどと、昔はよく言われていたが、
そもそもそこからしておかしくないか?
従業員の士気を上げるのは雇用主の責任で、
お客さんにその対価を要求すること自体なんか違う気がしてならない。
本当に心をつかんだサービスを受けたら、
誰に強制されるわけでもなく自然とお礼をしたくなるものだ。
それが心づけとして現れるのだと思うのだが。
これって私の心の狭さだろうか…?

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