旦那と店のお客さんとの会話で、
たまに日本の何かが話題になることがある。
すると決まって、私の名が呼ばれる。
昨日はキッチンの後片付けをしている最中に
私の名を連呼している旦那の声が聞こえてきた。
こちらも音を立てていたので、
彼らの会話の内容は一切聞いていいない。
洗い物の手を止めてちらっと顔を出すと、
いきなりある単語を聞かされ、
それが何か知っているか?と質問される。
彼らが発した言葉は「きよたく」
・・・
キムタクならぬ「きよたく」
何かの名前の省略系にしか聞こえない。
頭の中で、似たような響きの言葉を探すが、
一向に何も浮かんでこない。
2人に見つめられながら数秒間の空白が続き、
お客さんの方が、
「彼女は生粋の日本人じゃないね」というジョークで
笑いと共に2人の会話に戻っていく。
その間も私の頭は高速回転を続けている。
「きよたく・きよたく・きよたく…」
お客さんがしゃべり始めた言葉の中に
「アート」「サーモン」が出てきた瞬間、
思わず私が叫んだ。
「魚拓!」
英語圏の人の苦手な発音に
拗音と呼ばれる日本語の音節がある。
「きゃきゅきょ」のような
1音節を2つの仮名文字で表すことで形成される言葉だ。
TokyoがTokio、
KyotoはKiyotoのような発音になる。
その拗音が含まれているGyotakuは
まさに彼らには言いにくい言葉の1つだろう。
Gの音がKになるのはよく分からないが…
ちっちゃな「ょ」は、
日本語の控えめな扱いとは程遠く、
完全に同じ大きさで発音される。
「Kの音じゃなくて、G?」と旦那に確認され、
「そうだ」と答えると、2人とも「G」で言い直すが、
発音は「Giotaku」である。
Gしか直さないんかい!
母国語にはない音を発音するのは難しい。
私たちが苦労するL&R同様、
他の国の人たちにも
苦手な発音があることを目の当たりにすると
何とも微笑ましく、
英語で苦労している私の心も少し軽くなる。
私と旦那の間では、
そんな連想ゲームがしょっちゅう繰り広げられている。
連想ゲーム

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