ホームステイ

海外生活

”ホームステイには当たりはずれがある゛とよく耳にする。
これって、YESでもありNOでもあると思う。
私も昔、ホームステイに少し憧れがあった。
妹が、よく「世界ウルルン滞在記」という番組を見ていた。
有名人が海外へ行きホームステイをしながら、
様々なことにチャレンジしていくもので、
最後にはホストファミリーと涙、涙でお別れをする。
当時、あの感動を胸に
海外へ飛び出していった人も少なくないのではないかと思う。
同じようにホストファミリーとの関係を気付けると信じて…

しかし、そうは問屋が卸さない。
私は「ウルルン」のような状況を100%想像していたわけではないが、
お父さん、お母さんがいて、
たまの休日には、どこかへ連れ出してくれたりするのかな?とか、
子どもがいれば、子どもたちと仲良くなりたいな…
毎日英語環境になるのだから、日常会話ぐらいはマスターできるかな…
などと淡い期待を抱いていたのは否定しない。

初めての一人海外。(パッケージ旅行を除いて)
しかも初めて訪れる国での長期滞在。
自分自身、不安だらけだし、
心配性の母を説得するという意味でもエージェントを利用した。
同じ日に同じエージェントから渡航する人が数人いて、
その内の1人と仲良くなった。
手配されたホームステイ先は、
私は郊外の母子家庭。仲良くなった子は中心部に近いどでかい家。
バンクーバーはゾーンによって公共交通機関の料金が変わるので、
これだけでも差が出る。

どでかい家にホームステイした彼女は、
両親がそろった家族で、毎日食べきれないほどの食事が出るという。
私のステイ先は、食事量が少なく常に小腹が空いている状態だ。
母親が外出した夜は、お皿の上に
小ぶりのカップヌードルが1つだけ置かれていたこともあった。
小学校低学年の子どもが2人いたが、
こんな食生活で大丈夫か?と心配になったほどだ。

学校で出会い仲良くなった子のステイ先は、
1人暮らしのマザーの家。
バリバリのキャリアウーマンなのか出勤前の朝は忙しく
「キッチンには入らないで!」と怒鳴られるという。

確かに、これは “当たりはずれ” かもしれない。
実際、ホストファミリーは
留学生を受け入れることを生きがいにしている人達ばかりじゃない。
収入の一環として学生を受け入れている人も多くいる。
(時代の流れと共に、私が留学した頃よりも、
最近はより収入の一環というケースが多いように感じる)
滞在先は選べないのだから、どうしようもない。

しかし、ファミリーとの関係は自分次第で少しは変えられる。
自分からどれだけ積極的に(しつこいくらいに)攻められるかが鍵だ。
相手から来てくれるのを待っていては何も始まらない。
質問に答えられることも重要だが、
質問を投げかけられるようになれれば、
相手がもっと会話をしてくれるきっかけになる。
最初は冷たいと感じていた家庭でも、
次第に溶け込みウルルンのような経験を引き寄せられる人もいる。

ホームステイではないが
友人の一人は年配の女性のアパートで同居を始めた時
女性の態度に何かと違和感を覚えていたが、
次第に絆を深めて母娘のような関係を築いていた。

でもこれ、簡単そうに聞こえるが私はできない…
持って生まれた性格は今さら変えられない。
それこそ、ホスピタリティ満載の家庭で、
相手からガンガン来てくれるような環境に放りこまれない限り
無理だと悟った。人の懐に自然と入っていける人が羨ましい。

つまり、コミュニケーションに関して言えば
”当たりはずれ” は必ずしも当てはまらない。
自分次第ということだ。
私のように性格的にできない人もいるだろう。
こういうタイプの人は、ステイ先に溶け込めなくても
こんなものだとすっぱり割り切った方がいい。

一番重要なのは、ホームステイの主旨を理解しておくことだろう。
ホームステイは現地の家庭の生活を体験するものであって
お客さんとして生活することではない。
それぞれの家庭の普段の食事を提供され、
家族は普段のルーティーンをこなす。
たまたま自分の滞在中に、家族の行事があったらラッキーで
週末に何もないことの方が普通だ。
おもてなしの文化がある日本で育った私たちには、
DNAにもてなしの感覚が染み込んでいるせいか
どうしてもお客さんになってしまう傾向にある。
このお客さん感覚が抜けない限り、
ホームステイはそもそも違和感だらけだ…
淡い期待を抱かずに、
海外文化の体験をしに行くという心構えをしておかねばならない。

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