落とし物

カナダ/カナダ人

日本は、落とし物が見つかる確率が高いことで
世界的にもよく知られている。
残念ながらカナダでは見つかる可能性は低い。
落としたら、ほぼ諦めた方がいいというのは事実だ。
しかし、日本で遭遇するような善人がいないわけじゃない。
実際に落とし主にそのまま戻る奇跡もある。

昨夜、旦那が財布を落とした。
銀行のデビットカードとクレジットカードのほか、
現金で100ドル札が入っていた。
基本的にはカード主義の旦那だが、
店で現金払いの人が出ると、いつもその現金を優先して使う。
昨日も、Dollarama (100円ショップ) に行くついでに
Grocery shoppingもしてくると言って、
現金を財布に入れて家を出た。
「すぐ戻るよ」と言って出かけたのだが、
言葉どおり本当にすぐに戻ってきた。

自分に腹を立てている態度からしても 
財布を持ち出すのを忘れたか?とある程度の察しはついた。
ところが、昨夜は何とも不穏な空気が漂っていた。
“財布を落としたかも” と言うのだ。
2人で店の中を探したが見つからず、
本人は再度自分の通った道を探すために出ていった。
いつもの旦那の置きっぱなしの癖
どこかに置き忘れているだけであることを願いながら
私も家の中も含めていろいろ探したのだが
財布は見当たらなかった。

旦那はまた収穫なしで戻ってきた。
次は私も捜索に加わり、
再度旦那の通った道のりを2人で入念に見て回った。
旦那は歩道ではなく必ずバイクレーンを使うので、
いわゆる車道を走っていることになる。
となれば、歩道を歩く歩行者の目からは遠くなる。
夜の暗さも手伝って、落とした場所にまだ残っているかも…
というわずかな期待を抱いていたのだが、
結局見つからなかった。

記憶をたどると、
ドアのカギを閉める際にジーンズのポケットを探った時、
バックポケットに財布と鍵が両方入っており、
財布を避けながらほじくるように鍵を取り出したらしい。
彼が考えるに、その時にすでに財布を落としていたのかもしれない
という結論に至った。
ない物は仕方ない。するべきことはただ1つ。
カードを止めること。
その場で電話をし、デビットカードとクレジットカードを止めた。

そして今日、思わぬ訪問者が訪れる。
午後4時を回った頃、フィリピン系のカップルが店に入ってきた。
なんと!!!
彼女の手には見覚えのある年季の入った茶色い財布が…
昨夜うちの近所の横断歩道を渡ろうとした時に
財布を拾ったらしい。
旦那の財布には店の名刺が入っており、
わざわざ店を訪ねて来てくれた。
銀行に問い合わせることも考えてくれていたという。
カップルは謝礼も受け取らず、爽やかに帰っていった。
カナダにだって誠実な人はたくさんいる。

実は私もカナダに来た当初、
財布を落として戻ってきた経験をしている。
当時私は、旅行用のチープなナイロンの財布を使っていた。
中には旦那のスーパーのポイントカードと
20ドル札くらいしか入っていなかったのだが
それでも拾った人が警察に届けてくれ、
警察も、スーパーのポイントカードから
旦那を突き止め電話をくれた。
この警察の働きは正直驚きに値する。
そんじょそこらのことじゃ腰をあげないカナダの警察が、
100均にあるような安物の財布、
しかも貴重なものは何も入っていないにもかかわらず
スーパーのポイントカードから持ち主を探すという
手間をかけてくれたことに心底驚いた。
(暇つぶしにちょうどよかったのか?と疑ってしまう…)

もし日本のように身近に交番があれば、
カナダにも届け出る人はたくさんいるのではないかと思う。
今日は思いがけず
ほっこりした気分で1日を締めくくることになった。
届けてくれてありがとうございます!

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