人の一生

家族

先日、旦那の異父兄の息子さんが亡くなった。
まだ20代前半の若者だ。
詳細はあまりよく知らないが、
ドラッグが大きく関係していたらしい。
幼少のころから総合失調症も患っており、
色々と問題を抱えていたという。

うちの旦那は一人っ子として育っていたが、
高校生の頃、父親違いの兄がいることを知った。
生まれてすぐに里子に出されていた兄が、
実母のもとで暮らしたいとやって来たことがきっかけだったらしい。
しかし、兄は高校卒業とともに家を出て
それっきり疎遠になってしまったそうだ。

そんなお兄さんと、うちの旦那が再会を果たしたのは
ちょうど私が彼と暮らし始めた頃だ。
この時のきっかけは何だったのか知らないが、
お兄さんの家族(奥さん、2人の息子)と一緒に、
夏のトロントの風物詩であるCNEに行ったのを覚えている。
しかし、そこからまたプツリと音信が途絶えてしまった。

旦那が「子供を作る予定がない」と軽く言ったことが、
お兄さんを遠ざけてしまったかもしれないと漏らしたことがある。
自分の息子たちに “いとこ” ができるかもしれないという
密かな喜びに水を差してしまったのではないかと…

そして10年もの音信不通期間を経て、突然お兄さんから連絡が入った。
2人は、これまでの距離を駆け足で埋めるかのように
食事をしたり電話で話したりするようになっていった。
そんな矢先の悲しい知らせだ。
旦那はあまり詳細を話したがらないので、深くは聞いていない。
お兄さんからは息子さんを回想するビデオが送られてきただけで
お葬式も特になかった。
なにかヘルプが必要ないかだけ聞いてみたが
そっとしておいてあげるだけでいいという。

ここ数年、私の周りでは親を看取る人が続出している。
そういう年齢にさしかかっているのだと否が応でも自覚せざるを得ない。
ただその悲しさは、20代の子どもを失うのとはまた別物だろう。
お兄さんにはまだもう少し時間が必要な感じだ。
せめて、この世を去った息子さんには辛いことだけじゃなく、
楽しんだことも一杯あったと信じたい…

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