移民であるということ

海外生活

先日、バレー仲間の一人と将来のことについて軽く話す機会があった。
彼も私とおなじ移民であり、個人的な会話をする上では話しやすい。
いつもは受け身の私だが、自分から会話を切り出してみることに。

将来的にカナダの市民権を取ることを考えているのか、ふと聞いてみた。
彼は最初に出会った時は語学学校に通っていたが、
その後も引き続きカナダに留まり、仕事を始め…と段階を経てきていたので、
カナダに腰を落ち着けようと考えているのかなと勝手に思っていた。
しかし、意外にも気持は揺れていた。

彼は独身だ。
私のようにカナダ人の配偶者がいるというような
カナダに留まる明確な “何か” が無いせいだと言う。
まだまだ30代で若いし、出会いはこれからいくらでもあるだろう。
確かに、一人異国で暮らしていくには、
そこに留まる明確な “何か” が必要なのは事実である。
場所を移動中の短い時間だったので、
それ以上の深い話にはならずに終わった。

後日、共通の友人と話す機会があった。
彼女の方が彼とは近く、私よりも色々と話をしている。
どうも彼は仕事で少し悩みを抱えているらしいのだ。
彼の母国での職歴はかなりしっかりしたもので
おそらく優秀な部類に入る人なのだと思う。
しかし、異国で同等の職を得ることは簡単ではない。
現在はまったく違った分野での仕事をしている。

それはそれで納得の上なのだが、
給料面において、カナダ人と移民との間に格差を感じているという。
「移民に優しい国だと思ってたけど、そうでもないんだな…」と
漏らしていたらしい。
彼の英会話力は、仕事を始めてから飛躍的に伸びた。
それは私自身も直に感じたし、
旦那も他のカナダ人の仲間も同じことを口にしていた。

英会話力という点で気後れしてしまう私のようなタイプは、
カナダ人と同じ土俵に飛び込んでいくことすらできない。
結局私は、給料が低くても
“仕事があるだけでありがたい” 状態に甘んじている。
だが、カナダ人の中に可鍛に挑んでいる人にとって、
そこで移民であるがゆえの限界をつきつけられるのは
私なんかの惨めさとはくらべものにならないだろう。

母国での実績を捨てて海外へ飛び出すにはそれなりの覚悟があったはずだ。
エントリーレベルからの仕事になる可能性もある程度は分かっていたと思う。
ゼロから這いあがっていく強い意志があっても
自分の力だけでは越えられない壁がある… 何ともやるせない。
でもカナダに来てまだ数年。優秀な彼のことだから、
今ぶつかっている壁もいつかは乗り越えるかもしれない。
おばさんは、陰ながら応援してるよ。

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