私は元々甘いものが好きではない。
食べられないわけではないので出されれば口にするが、
好んで食べることはなかった。
和菓子にしろ洋菓子にしろ特に興味はなく、
むしろ煎餅や酒のつまみを好む子供だった。
「○○ちゃんは、飲ん兵衛になるぞ」と
近所の飲ん兵衛オジさんに言われたのを
今でも覚えているが、
残念ながらお酒を飲めるようにもならなかった。
運動をして喉が渇いていれば
1パイント (586ml) のビールは飲めるが、
すぐに顔が赤くなる。
体調によっては全身まっかっか…
お酒に弱い父のDNAをすっかり受け継いだようで、
お酒も好んで飲むことはしない。
甘い物に対する嗜好は成長しても変わることはなく
同僚にケーキの食べ放題に誘われても
私は元を取れないので行く意味がない。
デザートは別腹というのは私には理解できない世界だ。
満腹な状態で甘ったるいものを食べるなんて
気分が悪くなる…
大人になって、
疲れからか時々甘いものを欲するようにはなったが、
それでもチョコレートを一口食べれば十分だ。
(できればビターチョコが好ましい)
そんな状態でカナダへ来たわけで、
口の中で “ジャリッ” と、
もろに砂糖を感じるこの国のスイーツは異次元の甘さだ。
初めてのクリスマス。
旦那の実家でターキーをごちそうになったあと
(“デザートは別腹” というのは世界共通のようで)
義母の手作りのアップルクリスプが振る舞われた。
一口も食べないのは失礼かな?という
余計な気遣いをした自分を呪った。
「甘いものは苦手なのでちょっとだけ…」 とは言ったのだが、
皆と大して変わらない量のアップルクリスプが取り分けられ
その上にはアイスクリームがたっぷりと乗せられた。
口に入れたとたん、その甘さに絶句した。
私は自分の皿に取ったものは、生来残せないタチで、
甘すぎてどうにかなってしまいそうになりながらも
なんとか食べきった。
“二度と口にはすまい” と固く心に誓いながら。
しかし慣れとは本当に不思議なもので、
そんな義母の作る甘いお菓子を数回食べているうちに
いつのまにかカナダの甘さに味覚が順応し
スイーツに対する苦手意識が薄れていった。
ケーキの食べ放題に行きたいか?と聞かれたら
今もまだ興味はないが、
スイーツを普通に食べられるまでには成長したようで
時にはおいしいと思うことさえある。
カナダを代表するスイーツの1つであるバタータルト。
うちの旦那はピーカン (ナッツ) が入ったタルトが好物だ。
当初は甘すぎたハズのこのタルトも
いつのまにか食べられるようになってしまった。
移民の多いトロントでは、
スイーツを提供するお店のバックグラウンドも様々だ。
“甘さ控えめ” と感じるお店も色々ある。
ただ、その “控え目の甘さ” と判断する基準が
もはやどのレベルなのか分からない。
不思議なのはレストランや専門店が提供するものが
必ずしも自分の口に合うとは限らないということ。
もちろんおいしいことの方が多いが、
甘い物を欲した時に私が食べたくなる味…
それは、Two-bite brownies。
セブンイレブンなんかで売っている4コ入りサイズは
チョコよりちょっと重い
“甘い物欲求” を感じた時にちょうどいい。
味がリッチすぎず、軽い食感で食べやすい。
(あくまでもカナダの甘さに慣れた人間の感想)
スイーツに縁遠い私が言うのも説得力に欠けるが
意外とお勧めの1品である。
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